「命」とは何か。「生きる」とは何か。身分差、貧富差を通して考えさせられる作品〜『一命』

※この記事内ではアフィリエイト広告を利用しています。(【PR】という表記あり)

————————————————————————
本ページの情報は2025年4月時点のものです。

最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
————————————————————————

”狂言切腹”に見る江戸時代の社会。

『生活が窮迫し、このまま生き恥をさらすくらいなら、潔く腹掻っ捌いて、、』という文言で、

切腹のため、庭先を貸して欲しいと懇願する“狂言切腹"

狂言切腹とは、腹を切る気もないのに、食い詰め浪人が大名家におしかけ、

それを迷惑に思う大名家が金銭を支払ってくれたり、

あわよくば仕官の道を開いてくれるのを期待する行為のことを言います。

津雲半四郎(市川海老蔵)がある日、徳川譜代大名・井伊家を訪れ、

冒頭のセリフを吐くところから、今作品はスタートします。

映画『一命』

一命
(引用元:amazon.co.jp)

◉作品カテゴリー

Tearjerker(涙を誘う)作品

Tearjerker(涙を誘う)ランク

評価 :3.5/5。

◉U-NEXT評価

評価 :4/5。

実は半四郎が井伊家を訪れる2ヶ月ほど前、同じくここを訪れた浪人で、千々岩求女(瑛太)という男がいました。

姑息な貧乏浪士の間で流行り病のように広まり、、

世の“狂言浪士"が当家にもやってきたかと憤慨した徳川譜代大名・井伊家の家臣たちは、

切腹の所望をしてきた千々岩求女に実際、腹を切らせてやろうと目論みます。

(※画像はイメージであり、本作品とは関係ありません。)

しかし、求女が所持していた刀は、竹光(たけみつ)と言って、本物の刀ではありませんでした。。

生活に困り、”武士の魂”とも言える、自身の刀ですら売り払っていた求女。

その代わりに、腰に差していたのは、竹で造った”模造刀”でした。

竹光(たけみつ)は、当時の生活苦の浪人を象徴する所持品だったのでしょう。

そうと知っていながら、『ご最期は自分のものがよろしかろう。』と言って竹光差し出す井伊家臣のその性根は、

いくら懲らしめのためとはいえ、武士の情けにはほど遠いのではないでしょうか。。

求女が”吹っ切れた”瞬間。

病に臥せった妻子のことを思い、

恥を偲んで『どうか三両を賜りたい』と井伊家の家老に懇願する求女。

「最期の願いがそれか、情けない。」

その嘲りともとられる家臣の言葉に、求女の気持ちは吹っ切れます!

『元芸州福島家浪士・千々岩求女、これにて腹を切らせていただく!』

なかなか切れない竹でできた刀で腹など切れるわけはなく、苦悶の表情を浮かべる求女。

このシーンは思わず、目を背けたくなります。。

腹に突き立てるのですら難しい、竹でできた刀。。

まして、突き刺した後で、それを真横にカッさばくなんて、、

その2ヶ月後にこの井伊家を訪れた津雲半四郎にとって、

求女は福島家にてお世話になった家老の忘れ形見。

娘・美穂(満島ひかり)と同様、半四郎が男手一つで育て上げた大事な子。

やがて半四郎の願いもあり、求女と美穂は夫婦に。

そして子も生まれ。。

病がちな妻、そして栄養不足の息子に精をつけさせるため、

求女は大切にしていた書籍を質屋に売り払う始末。

求女がもし、井伊家のような譜代の家に仕官できれば、このような生活苦とは無縁でしょうに。。

半四郎が”吹っ切れた”瞬間。

ある日、高熱を発した幼息子の金吾。

医者に診せるには三両ものお金が必要だという。

それを聞いた求女がとった行動は。。

家屋の障子はところどころ破れ、隙間風が至るところから。。こんな状態では治る病も治らず。。

『三両の当てがある』と言って出ていった求女は半四郎と美穂が待つ家に戻ってきましたが、、、

変わり果てた求女の姿、そして病気で亡くなってしまった金吾、そしてそれを追うように美穂も。。

抜き放った刀をじっと眺めながら、勢いよく刀を鞘に戻す半四郎。

愛する者すべてを失った半四郎が吹っ切れた瞬間でした。。

『武士も血の通うた人間であろう。』

井伊家を訪れ、切腹の場に鎮座した半四郎の口から出てきた言葉は、

愛する家族を失った悲痛な叫びであり、

身分差、貧富差により生み出される言いようのない社会に対する恨み言でもあったでしょう。

彼の吐く一言一言に、命の重さ、尊さというのがあまりに軽んじられていた江戸当時の風潮が見えるようです。

”狂言切腹”と称して、なんとか生活苦を脱却しようとする浪士たち。

本当に腹を切らせようとして、その生活苦を思いやる心を持たなかった井伊家の家臣たち。

本作品を覧終えた後で、思うところはそれぞれあろうかと思います。

あなたも、ぜひ考えてみてはいかがでしょうか。

【PR】

U-NEXTでは、毎月自動で1200円分のポイントが自動でチャージされます。

そのポイントを使って、有料レンタル作品をいち早く視聴できたり、

対象となる映画館(劇場)にて、そのポイントでチケット代を支払うこともできますよ😀

➡️『Tearjerker(涙を誘う)作品』ページ